前回、こちらの記事で英会話とTOEICの勉強の違いについて整理しました。
-
-
TOEICと英会話の決定的な違いとは何か?|どっちを優先すべき?
私は社会人になってから、キャリアアップを少しでも有利にしたいと真剣に英語の勉強をはじめました。 結果としては、約1年間でTOEICで855点を獲得し希望する企業にも転職することができたので、一定の目標 ...
今は半年以上、英会話にフォーカスした勉強を継続しているため、一対一の状況あれば自分のビジネス領域に関して問題なく意思疎通できるくらい英会話ができるようになっています。
ただ、英会話の勉強を開始した当初は、まったく成長実感が感じられず相当苦戦しました。
今振り返ると、間違った英会話の勉強方法をしていたなと思います。
今回は、英会話が上達しない原因についてまとめたいと思います。
スポンサーリンク
目次
TOEICと英会話は相関するか?
私はTOEICスコア855点を所持しており、一般的にはハイスコアの分類に位置していると思います。
TOEICの公式サイトによると、TOEICのスコアに対する英会話能力の目安として、860点を取得していれば、
Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。
ことになっています。
でも私の場合は、実際は英会話の学習を始める前は全くと言っていいいほど英会話はできませんでした。
TOEICスコアと英会話の実力はほぼ無関係です。
公式サイトの目安はあくまで、TOEIC側の宣伝アピールのための、スコアの目安に過ぎず、「何点から○○ができる」というのは、実際の状況とは大きく乖離しています。
TOEICは約1年の独学の勉強法で855点に上げることができたので、英会話もコツを掴めば短期間で上達できると思っていたのですが、完全に甘かったです。
偉そうにこんなタイトルのブログも書いているくらいですから、それなりに効率のいい学習方法を見つけ出すのは得意な方だと自負しているのですが、英会話に関してはそもそも大いなる勘違いをしていました。
大いなる勘違いに気づかず勉強してしまっていたので、なかなか上達することができずに苦戦しました。
私が失敗した勉強方法をご紹介していきます。
*今回、オススメの勉強法まだご紹介するつもりが長くなりすぎてしまったので、オススメの勉強法はこちらにまとめました。
結論を先に読みたい方はこちらをご覧ください。
-
-
「英語脳」って作れるの?|TOEIC850点の私が英会話力を飛躍的に上達させた実践トレーニングを紹介
前回、TOEIC850点を独学で取得したのにも関わらず、英会話の勉強には挫折した自分の失敗談をまとめました。 TOEICと英会話の違い、なぜ英会話が上達しなかったのか?という原因の考察はこちらをご覧く ...
失敗(1)市販の英会話のフレーズ集で勉強
まず私が考えたのが、スピーキングに特化した語彙の強化でした。
独学での英会話フレーズ集での勉強です。
TOEICはビジネス英語なので私はTOEICのスコアは高いですが、かなり語彙がビジネスに偏っています。
そのために、英会話フレーズ集がまとまった書籍を何冊か購入し勉強を開始しました。
当然、丸暗記するのは効率が悪いですので、使いたいと思う言い回しにCHECKをつけて、それを覚えていく作戦です。
一見筋の良さそうな作戦ですが、私が失敗した理由を挙げていきます。
英語表現が「こなれ過ぎ」?
これは本当に注意した方がいいと思うのですが、こういったフレーズ集というのはバリエーションを売りとしているので、どうしてもシンプルな表現よりも少しこなれた表現が多くなります。
これは2つの点でオススメできません。
まず、1つ目は無駄に覚える文章が増えるということ。
同じようなことをいうのに、いくつも色々な言い方を覚えるのです。
同じ意味のバリエーション違いよりも、違う意味の表現を多く覚えないと、会話が広がっていきません。
これはリスニング対策としては一定の効果はありますが、効率的かというとかなり疑問が残ります。
そして、2つ目が致命的ですが、こなれた「言い回し」は実は相手に伝わりにくいです。
これは実際に、外国人とビジネスでコミュニケーションをとるようになって気づきました。
英会話初心者がいきなりこなれた表現をすると聞き取ってもらえません。
聞く方も、こちらがそんな表現をまさか使ってくるとは予測していないので、聞き取れないのです。
リスニングはいかに予測で成り立っているかということを嫌というほど実感します。
カタコトの日本語しか話せない外国人の方が、いきなり難しい言い回しを使うことを想像してみると、その伝わりにくさが想像できると思います。
「使えそう」な文章も、実は使用頻度が少ないことが多い
日本語でフレーズ集をチェックしていると、あれもこれもとついついチェックしてしまいがちです。
特にフレーズ集というのは、色々なシーンで使用する文章を想定されているので、幅広いトピックになりがちです。
これも落とし穴の一つです。
社会人ならビジネス英会話、さらに言えば「会議で使う英語」など、まずは利用シーンを限定して勉強した方がいいです。
使用頻度の高くない文章をチェックし、チェックしただけで勉強した気になってしまうということがかなり発生していました。
「なんとなく使えそう」と「自分が実際によく使う」ものには大きな違いがあります。
是非、自分の使用頻度を意識した上で勉強してください。
失敗(2)自分だけのオリジナルの文章集を作ってみる
フレーズ集の反省を活かし、次に考えたのは自分なりのフレーズ集を作ることでした。
フレーズ集は範囲が広すぎ、自分が使わないような言い回しも多い。
それなら、自分が使うシーンを想定した文章集を自前で作ってしまおうという発想です。
無料で教材を自ら一から作れるので、効果は高そうです。
これは、アイデア自体は悪くないのですが、気をつけて利用しないと勉強した気になるだけで全く上達しないという状況が起こります。
以下に注意点をまとめます。
作成に時間がかかる
まずは日本語で使いたい文章を考えて、それを英作文していきます。
これは非常に学習した気になるのですが、作るのに非常に時間がかかります。
自分なりの文章集が出来上がっていくのは、進捗感もあり満足度も高いのですが、勉強時間に対する効果は必ずしも高いものとは言えません。
間違っていることに気付けない
自分で日本語⇒英語で文章を作っていくので間違いが発生してしまいます。
たとえば、私が最近まで勘違いして覚えてしまっていた言い回しがあります。
間違えて暗記していた表現
「彼から聞いたんだけど・・・」
独学: I heard from him that...
正解 :He told me that...
独学で覚えた表現を最近までずっと使っていました。
これは文法的には間違いではありませんし、ニュアンスで伝わってしまうので、間違っていること自体にに気づいていませんでした。
同僚たちは英語の先生ではないのでいちいち間違いを指摘してくれません。
独学で勉強していると非常に気づきにくいです。
応用が効かず、実戦では使えない
オリジナルの文章集の丸暗記は、応用が効かないという問題あります。
外国人とのリアルなやりとりの場面では、応用が効かないと実戦で使い物になりません。
ここでいう応用というのはたとえば、下記のようなマイナーチェンジのことを指します。
マイナーチェンジの例
・主語・目的語が変わる
・時制が変わる
・疑問文にする・否定文にする
このマイナーチェンジがリアルな英会話の場面では非常に重要であることを私は見落としていました。
TOEICでそれなりに高得点を取っていますので、数秒あればマイナーチェンジはできます。
でも、リアルな英会話で数秒のフリーズは命取り。会話が成立していきません。
瞬間的にマイナーチェンジをさせていく力こそが、英会話の実戦に必要な能力です。
失敗(3)英会話教室・オンライン英会話
もう一つ失敗したのは、英会話教室・オンライン英会話のレッスンを受けたこと。
厳密に言うと、何の戦略もなしにとりあえず英会話のレッスンを受けてみようという作戦です。
勉強だけしてもしょうがない。実戦あるのみ。という判断。
この作戦は、外国人に慣れるという点において効果がなかったとは言いませんが、当初の想定よりもかなり効率が悪かったというのが率直な感想です。
落とし穴(1)改善サイクルが回らない
私が英会話初心者にいきなり、英会話教室・オンライン英会話を始めることをオススメしない理由がこれです。
改善サイクルが回らない。
多くの英会話教室では教師が外国人で日本語を話せないケースがほとんどです。
そうなると、こちらは聞きたいことがうまく聞けない、聞いても英語なので理解しきれない、というジレンマが必ず発生します。
特に英会話初心者はそもそもうまく質問することができないので、非常に効率が悪いです。
落とし穴(2)英語を発する量が実は少ない
実際に受けてみるとわかりますが、うまく話すことができないので、マンツーマンレッスンでも自分の発話量はかなり少なくなります。
こちらが上手く話せないので、ついつい先生の方が多く話してしまうという傾向に陥りがちです。
オンライン英会話の課題
英会話の基礎ができていない初心者がいきなり何の戦略もなしにオンライン英会話を始めてしまうのは、何の練習もしていない素人がいきなりテニスコートに立つようなものです。
練習はしていないので空振り連発、たまに当たってもまともに相手のコートにボールを返せない。
まともにボールを返せないので、向こうもそれに返してラリーを続けることができない。
終わってみると疲れた割にあまり上達してないという状態に陥ります。
試合の前に必要なもの、それは「練習」に他なりません。
英会話が上達しない原因は?
ここまで、私の失敗談をまとめてきました。
英会話を上達させるには・・・
・フレーズ集は買っても無駄なのか?
・オリジナルの文章集は全く意味なし?
・英会話レッスンはお金の無駄?
という結論になるかといえば、そうではありません。
紹介した勉強法は決して無駄なものではなく、実際に私もある程度英会話ができるようになった現在は、フレーズ集・オリジナル文章集・英会話レッスンに再びチャレンジして一定の成果を実感しています。
つまり、私は英会話を効率に習得するための”取り組む順番”を間違えたと思っています。
じっくり勉強していきたいという人であれば、どの方法を選んでも決して無駄になるわけではないのでやりたいものから取り組んでもいいかもしれません。
ですが、最短で英会話ができるようになりたいのであれば、私はこの方法はオススメしません。
これらは単体では非常に有効な勉強方法だと思いますが、その前にもっとやるべきことがあったのです。
”取り組む順番”を間違えない、というのは非常に重要なポイントです。
英会話上達のコツとは?
ここまでかなり長くなってしまったので、詳細は後編にまとめて行きたいと思いますが、先に結論だけお伝えしておきます。
英会話は「勉強」ではなく「トレーニング」です。
勉強をするというつもりで取り組むのではなく、明確に「訓練」「練習」「トレーニング」とマインドセットを変えた方がいいです。
英会話は勉強ではなく、運動・スポーツ。
それくらい別物だと捉え直した方がいいです。
私はこの認識が甘かったので、初期の多くの時間を“勉強”に費やしてしまいました。
そして、ろくなトレーニングもせずに、「英会話レッスン」という試合にいきなり出てしまったため、大きな成長ができませんでした。
どんなトレーニングをすべきだったのか?
英会話の上達方法は具体的に何なのか?
スピーキングの練習はどうやっていたのか?
ということについては、こちらの後編で紹介しています。
-
-
「英語脳」って作れるの?|TOEIC850点の私が英会話力を飛躍的に上達させた実践トレーニングを紹介
前回、TOEIC850点を独学で取得したのにも関わらず、英会話の勉強には挫折した自分の失敗談をまとめました。 TOEICと英会話の違い、なぜ英会話が上達しなかったのか?という原因の考察はこちらをご覧く ...
おわりに
私はついつい効率を求めるあまり、英会話を効率よく勉強してしまおうと思ったため失敗しました。
効率よく勉強するのではなく、効率よくトレーニングしようというマインドセットを切り替えてから英会話が上達していくようになりました。
英会話の上達につまずいている方の、少しでも参考になれば幸いです。
(おわり)